私たちの食卓/リンネ
。仕方がないので、私もまずトイレで用を済ませることにしました。
一度トイレに入ると、じわじわと不安な気分が沸いてくるようでした。あいつはいったい誰なんだろう、あまり自分にそっくりなので、私は私であることの自信をなくしてしまいました。強烈な吐き気が咽喉にのぼって、私は慌てて便座に屈み込みます。溜まった水に映る顔を見て、私は思わず息を飲みました。
私は、私ではありませんでした。見知らぬ女の顔が、ぼおっと水面に揺れています。はっとして、(私は男なのですが)股間に手を当ててみると、本来あるはずのものが確認できません。そういえば、胸が異様に膨らんでいます。肌はきめ細かくなって、まるでプラスチックの
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