台東区の女/はだいろ
雨。
ソープ通いも濡れる街角。
五千円札を大切にね、って、
ずっと前に遊んだソープ嬢に別れ際に言った。
吉原まで歩いて行くと、
途中に樋口一葉の記念館がある。
「たけくらべ」を思いっきり、
現代っ子に意訳して、余った時間で話してあげたのだ。
超売れっ子ソープ嬢を姉に持つ少女みどりは、
やがて自分もソープ嬢になる運命にあるけれど、
今は小学生の教室の人気者。
華はあるし気っぷもいいし。
そんなみどりと、密かに思いを寄せ合うのは、お寺の息子の信さん。
凛としてきれいな少年。
けっしてむすばれない運命のふたりは、
はかなくせつないすれちがいの気持ちの、
永遠のむす
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