キンモクセイ/天使
冬の風に季節はずれのキンモクセイの香り。
とても、せつなくて・・・。
やさしい甘い香理は、何故か寂しい。
小さなそのオレンジの花は、かすかな風にさえ散ってゆく。
散ってゆく花びらの中、寒い風が、冷たい風が吹きはじめ、
季節をわすれた花たちは、ただ散ることしかできない。
ただ、ただ風にのって、香りをただよわせて、
つめたい風に吹かれ、散舞う。
桜のように、きれく舞うことはないけれど、
バラよりも香りただよわせるその花は、
君が好きだった花。
君の石のそばにも、
季節狂って咲くキンモクセイの香りが
とどいているだろう。
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