遠いものたちが/岡部淳太郎
散らばってゆく
だがやはり
葉は葉であり
川は川であり
人は人であり
それぞれの離れは
清らかなままで保たれている
その道が少しずつ延びて
遠いものがさらなる遠さを
まとうことはあっても
道を縮めて
近いものになることは出来ないだろう
夜になり
その暗さで
離れが凍りつく時
空を見上げれば
それぞれに離れを保った
遠いものたちが
あつまって
この遠さからのみ見分けられる
星座となる
いまという過去の中で
燃えている
かたちを
つくっている
(二〇一〇年三月)
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