バ モ ク タ ト コ/
くゆら
人を押しのけて前へ行ったが
せぇたかのっぽが邪魔で見えん
人の肩と肩
頭と頭の間から
少し切れた
あの人をわたしは見た
帰り際
ペンキにまみれて絵を描くあの人が
わたしは黙って三角座りし
食い入るように
最後まで見ていた
あの人はまた
「ありがとう」と言った
わたしは走って
握手を求めた
わたしの右手を震えた右手で
ギュッとして
あの人は何か言いました
その時に聞こえた言葉は
きっとわたしの聞き間
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