余愁の水割り/アラガイs
 
か死んだと聞いた
義足の同級生

名前も忘れ
話したこともない
けれど何故か甦るあの教室
あの姿

酔えば思いだす
家が貧しかった女の子

制服はしろく汚れ
ボサボサの長い髪の毛に老け込んだ皴顔

何故か女子でも
あの娘だけは先生によく打たれていた

やって来た母親が
涙を流しながらイジメた生徒を叱る
その姿がいまでも忘れられない

随分まえに結婚して
子供が二人いると誰かから聞いた

思い起こす度
悪戯な僕は彼女たちを虐めなくてよかったと安堵する


( ちっ 大人も子供も変わりはしない )
あと二杯くらいにしとくか

秋の夜はまだまだ長い





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