余愁の水割り/アラガイs
 

夕飯後の消化不良を酒で紛らわす
夜長だね。
こんなとき薄い水割りはいくら飲んでも酔うことはない

(ちっ ‥いやな奴らだ )
考えれば 考えるほど孤立した理由に腹が立つ
(まったくイジメだよ )
台所の椅子で両手を頭にすると
水割りの黄金色が増してくる

イジメを思うと僕には何故かいつも浮かぶ景色が二つある

髪の毛の長い義足の少女が
誰かを追いかけてゆく

短くて骨のような片足を引きずりながら
片手に箒を振り上げて
必死の形相で追いかけてゆく

よくからかわれていた
顔ばかり大きなあの少女

いつだったか死
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