詩人たちの仕事/アラガイs
 

僕は詩人の仕事を知っている
それは薄汚れた靴下の匂いを残したままそのままを裏返しに吐き直し
美術館でこの絵はどうも臭いと鷲のような鼻で素人にはその説明を拒み
賞味期限に剥がれた壁紙の図柄をまえに猿が逆さまに眺めるのを見れば
珍味だ!と言って理由もなく感動することを


僕は詩人の仕事を知っている
青空を担保に
もしもにわか雨が風になり地上に降ることをやめたなら
象牙海岸あたりの砂漠に暮らすよりもハイドパークの塵拾いになりたいと
仮病を使いながら役場に申請書を出しにいく
たとえ署名が偽物だと気づかれても
その変装がけっして見破れることのないことを




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