うみぶた/ねなぎ
ボチャやおから
菜っ葉やら里芋が並び
寂れた漁師町だった事もあり
焼き魚と刺身が続いた
文句を言えば
食べさしてもらえず
別に好き嫌いもあまりなく
食べていたが
どうしても食べれない刺身があった
それは黒くて
皮がゴムみたいで
ぬるぬるとしていて
油っぽくて
食べてみても
生臭いように
不味い
無理矢理飲み込んで
流し込むのも
一二切れが限度で
「栄養が有るだで食べにゃいかんよう」
と叱られ
箸が空中に止まる
隣にいる祖父は
平然と食べていて
それを見ていると
「ひじ」
と手を叩かれる
もう一切れ我慢して飲み
わさび醤油で誤魔化し
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