Sacrifice ★/atsuchan69
――知っていただろうが、
銀のフォークに刺したその柔らかな一切れが
まだ焼かれるまえには紅く鮮血が滴っていたのを
そして屠られるまえに荒く息をし、
「お願い、どうかやめて!」と叫んだのを
――知っているだろうが、
あなた自身がけして善人でないことを
悲しみのひとに席を譲ることよりも
奪うことによってしか私たちが生きられないのを、
その笑顔には、蔑みを隠していることを
――知っているだろうが、
今日までいくども見殺しをくりかえしてきた
TVや新聞で他人ごとの殺戮が五月蝿く報道され
あなたは疲れていたり忙しすぎるのを理由に
ただ、自分のために楽しい
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