動物園/光井 新
、歩いて行っちゃった。
さちが小さくなって、どんどん小さくなっていく、僕はさちをぎゅってしたくて、本能の強かさって因果律の持つ強度なんじゃないかなって、そういうの考えるのもう止めたいなっていう僕は阿修羅なんじゃないのかなって、僕の知ってる阿修羅を見いてたらその表情の孕んでいる感情は喜怒哀楽のどれにも当てはまらなくて、理解できないものを目の前にした時、身体全体を使ってパニック! 腕とか脚とかじたばたやって、そうやって逃げ出そうとしたけど……不思議そうに指をさす幼稚園児位の男の子に、お母さんが「きいろいきゅうきゅうしゃがくるよ、こわいこわいよ」って言ってるんじゃないかっていう被害妄想の単なる妄想さえも因果律によるものだというジレンマに僕の阿修羅はパニック! 妄想から被害へ、被害から妄想へとループする。
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