チワワみたいに小さくて/(罧原堤)
 
に擦り寄ってきて、おとなしくしている。そして先ほどとはまったく違い、目が異様なほどたれていて泥まみれで、哀れさをもよおしたぐらいだった。そしてしばらくそのままでいた。僕は悲しさにとらわれていた。それで何かばかげたことばかり頭に浮かんでは消えていった。(僕がもしムンクみたいに目立つ絵が描ける画家だったらどうしてただろう。たぶん絵を描いていただろう。ただ描き続けていただろう。絵ならどこでも描ける、そのへんの待合室などでも、それでその絵を見てくれる人はいつだっているだろう。すぐに賞賛してくれるだろう)だから思う、(僕がうまい、すごい絵描きだったらどんなに幸せだっただろうか、すぐにみんなが僕の価値に気づい
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