蠅車掌/(罧原堤)
びおちると、しだいに黒こげていきながらのたうち回ってるそいつらを指差して副車掌と一緒に笑いあい、一笑いしたあと、さっきのfire showが乗客たちの目にどう映ったか彼らの反応を満足げな顔をして見やりにいく。当然彼らからの賞賛の視線と言葉を期待しているのだが、ある雪の日、
「なんかようのある奴はさっさと名乗りでろや」と、いつものように、サインを求められないかとちょっとドキドキしながら、老人のフロックコートに唾を吐きかけたりしていると、通り過ぎた座席からニュっと手が伸びてきて、制服を引っぱられた。
「なんだ? オレの服から早くそのうす汚い手をどけろや。副車掌に痴漢させにこさすぞ」
まだ幼さの
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