いつかまた、会えるから、(マリーノ超特急)/角田寿星
あんちゃんがはにかむように言った
爺さん この本を一冊 オレにくれ
背表紙にはかすれた文字で
『大宇宙冒険野郎〜キャプテンエックと愉快な仲間』
俺とあんちゃんがガキの頃 擦り切れるまで読んだ本だ
そうだ いつだって本を開くと
記憶の扉がぎい と開いてキャプテンエックが顔を出す
「やあ また会えたな ずいぶん大きくなって」
俺たちとキャプテンエックは
久しぶりの再会に肩を抱き合う
キャプテン オレたちも宇宙に行ったんだ
あんちゃんが顔を上気させて報告すると
キャプテンエックは瞳をまるくして喜んだ
「ふむふむヘリウム3か…オレたちの時代にはなかったな」
大昔の未来
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