小さな港/鏡文字
 
一匹の虎縞の雄猫が
防波堤の上で
香箱を作っている
そんなところで寝ていてはいけない 猫君
猫らしからぬし
寒かろうし
それに何より
魚に食われたとあっては
猫の沽券に関わるだろう
そう言いながら
若くて 猫の好きそうな釣り人が
釣った魚を投げてよこす
猫は食べもしないで
薄目を開けて
どうやらすこし うるさいようだ
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