痛いドシャブリ/森の猫
最寄駅に着いた深夜
ドシャブリ
たった 1メータだが
タクシープールへ向かう
みんな 考えることはいっしょだ
長蛇の列
あたしは 日傘は持っていたが
キャスケットを目深にかぶり
徒歩15分の家路へと
踵を返す
こんなドシャブリは久しぶりだ
外人きどりで
すっくと歩く
肩から 首から 気持ちよく
冷たいものがつたわる
あたしの今日の気持ちを
代弁しているようなドシャブリ
雨は怒っている
雨よ洗い流せ
無用なキモチを
切り替えろ 切り替えろ
ネガティブになるな
ジーンズまで ぐしょぐしょに
なったところで
ピタッと 雨は止んだ
マンションのエントランス
のろのろと階段を登る
濡れ猫 一匹
あぁ
あたしは
やっぱり 群れない猫だ
テリトリーに帰ったら
毛繕いだ
痛みは不思議と弱くなっていた
たまにはいいさ
濡れ猫も
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