痛いドシャブリ/森の猫
 
最寄駅に着いた深夜
ドシャブリ
たった 1メータだが
タクシープールへ向かう

みんな 考えることはいっしょだ
長蛇の列

あたしは 日傘は持っていたが
キャスケットを目深にかぶり

徒歩15分の家路へと
踵を返す

こんなドシャブリは久しぶりだ
外人きどりで
すっくと歩く

肩から 首から 気持ちよく
冷たいものがつたわる

あたしの今日の気持ちを
代弁しているようなドシャブリ
雨は怒っている

雨よ洗い流せ
無用なキモチを

切り替えろ 切り替えろ
ネガティブになるな

ジーンズまで ぐしょぐしょに
なったところで
ピタッと 雨は止んだ

マンションのエントランス

のろのろと階段を登る
濡れ猫 一匹

あぁ
あたしは
やっぱり 群れない猫だ

テリトリーに帰ったら
毛繕いだ

痛みは不思議と弱くなっていた

たまにはいいさ
濡れ猫も
戻る   Point(4)