模倣犯/寒雪
 
ともなく
がんばって走ってみても
いつも人の背中を見ていた
そんな日陰に住む僕が
あなたに近づくにはどうしたらいいだろう
毎日毎日
ワイドショーに現れるあなたを見ては
湧き上がる自分の感情を抑えられない


とりあえず
あなたがやったように
刃物を探してみた
バタフライナイフはなかったけれど
台所にあった包丁で十分代わりになるはず
あとは夜更けを待って
人通りの少ない裏路地で
獲物を待ち伏せるだけ
背後から
何も知らない人間を刺し殺した時
ぼくは一歩でも
あなたに近づけるだろうか
その時のことを考えるだけで
こんなに胸の鼓動が早鐘を打つ


これって恋なんだろうか

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