みなしごとライオン/麻生ゆり
製にしようと連れていった
人間どもはみなしごに様々な「教育」をほどこした
「矯正」しようしたのだ
しかしみなしごは文字が覚えられなかった
数を数えることもできなかった
言葉すら使えなかった
これら全てこれまで不必要だったのだから
そして人間世界の研究者や学者といった
みなしごにとっては意味のない肩書きを持つ2本足の生物が
入れかわり立ちかわり無駄な作業をしていった
だがみなしごは人間たちが欲しい回答を与えなかった
そしてみなしごはたった独りでこの世を去った
愛し愛される喜びを共感し合ったライオンと
永久にはぐれたままで…
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