うでげ/捨て彦
 
ん」
「お。なんや。あっ、もうあかんで。もうあかん。もう飲んだらあかんで。飲まれるで。」
「誰がおかわりゆうた」
「あ、ちゃうんか」
「今何時や」
「今?あんた時間聞くの好きやなぁ。今は八時半や。後ろに時計あるさかい気になったら自分で見ぃ」

八時半か。私にしては大分待った。誰にも文句は言わさん。というか、これは明らかに向こうが悪いので、この怒りはまったくもって正当なものと思われます。よし。帰ろう。帰って寝る。誰がなんと言おうとも寝る。

「おっさん、ほな・・」
「お。なんや、お帰りか。毎度・・、あ、いらっしゃい」

私の後ろからものすごい勢いで腕毛の濃い腕がテーブルにのった。なんかごちゃごちゃと後ろから一生懸命に喋っているみたいだけれども、なんだかもう眠いのであまり聞こえなかった。引っこ抜いてやろうか、とか、そういうことを考えるか考えないかのうちに、私は意識を失った。


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