最強装備/雨音些末
 

激しく突き上げられる
切なさを伴った快楽なら
誰よりも知っているけれど


いつか私も
君の中に入っていけたらいいのに
君の体内にゆっくりと
私の体の一部が
君を押し広げて入ってゆく

入っていくほどに
君は眉根を寄せて
頬を紅潮させて
首を左右に振りながら
快楽の歌を歌うのだろうか

そして生まれてくることのない
命の迸りをゴムの膜に放出した後
私は
君の快楽や空虚感を知るのだろうか


でもそれは
現実的な話ではないし
考えあぐねても仕方がないことなので

私はもう一度
君にゴムの膜を
器用に装備させた

ひとつの国の人口の数ほどの
生まれてこない命の素を
受け止める
最強装備を


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