こどもの白昼夢/梨玖
 
堪能するなら今のうちだよと誰かは行った
記憶の端っこを泳ぐような
四方何処までも蒼い水の中を私は回る

熱帯魚に似た鈍色の魚達の
柔らかい声に耳を奪われる
「何処へ行くの」
「どこへいくの」
「ドコヘイクノ」

「迷子になるのも厭わないなら、
どうでしょう、一緒に向こうへ?」


鈍色の魚の群れが周りを囲んで
竜巻のように襲い掛かる

すこし怖いよ
すこし怖いよ

「大丈夫だよ」
「だいじょうぶだよ」
「ダイジョウブダヨ」

「このまま何処までもいけるのなら
楽しもうよ、今のうちだよ」


はやくおいで
はやくおいでよ
囁くのは誰


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