夏空の下で夢をみる/かんな
着けると、この南風にのせて花束を贈る
あたたかいほうへ
触れることの叶わなかった指先には
どれほどのあたたかさを持ってしてもぬくもりは灯らないけれど
日没という現象も、深夜という事象も
わたしと、あなたを、ゆいいつ安心させた
語ることばは溢れるほどポットにあたたまっていて
マグカップに注いでは飲み干しあった
そういうただの思い出と化した記憶を抱えることは
夜空をゆっくり駆ける月を追い抜いてしまうことのようだった
あなたとわたしが、はじめて何らかの大切さを抱く
そういう冗談を幾度も重ねていくと
現実はあきらかに薄らいで色を無くしていく
帰ってしまいたい
日
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