マングースとハブ/楽恵
 
で積み重なり
二人の関係が破綻するときが来た。

ここを去るわ、と彼女は静かに告げた。
「どこへ」
「さあ、とりあえず北のほうにでも旅してみようと思うの」
別離はとても辛かったが、
彼女の決心は固かった。
彼はそれきり何も言わなかった。
別れの日がきた。
今帰仁港から北の海に向かう気船の甲板で
彼女は遠ざかっていくヤンバルの青々とした森にさよならを呟いた。
自慢の毛皮を風になびかせて。

侵略的外来種、マングースの北上は今も続いている。





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