卑屈/蒲生万寿
 
小さな世界で完結し 
目は何も見えず 
音は地に堕ちた 
意識ある錯乱は 
あまりにも幼稚な自慰として足りない指がまさぐる 
明日の夢があるならば 
それは七夕の笹飾りに願いを託す猿の祈りに他ならず 
外に向かう言葉は見せかけに過ぎず 
内の愚かさに気付かぬプラスティックは 
朽ちること無く古びていく 
入口を開けたつもりのまま閉ざされた希望 
出口などそもそも別の所に備えられている 
そこが扉ではないと忠告する副音は 
セム系の者共が口にすればよい 
そうして遠雷を聴くことも出来ぬまま 
昼も夜も型通り入れ替わり 
日に日に記憶の外に追い出された頃 
「シ・ア・ワ・セ」 
と鰯の冠がうそぶく 
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