『残さるる』/ま のすけ
大勢の声と、笑いと、熱やそういったものたちが、
フッ と とぎれて、
気が付けば
取り残された私を覆う
いつもの駅の案内の音声と
改札の外に外を創っている雑音
平穏な中、
外殻を外殻通りに見せている私ではあるけれど、
中味はどうだろう
ゆうべ きのう きのうの朝 と
遡って記憶をたどってみても
いま甦るのは、もうすでに実体をともなわぬ幻影だし、
つまりは知覚不可能なアミノ酸らの起こす化学反応でしかない。
おおぜいのオジサン・オバ
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