こどものころ/かんな
いつ果てるかわからない
通学路の行きつく先について考えていた
履きなれない道で靴擦れを起こして泣いた
あの時頬を叩いたのは母だった
空を水色で塗りたくれば正しいと
押しつけられたような気がしていた
群青はとおくへと流れていって
辱められたわたしの誠実な幼さが
いつまでも乳房を離さなかった
痛みはぬくもりへと吸い込まれていく
兄は堅実な幻想で
姉は甘美な誘惑のかおりがした
ふたりの足跡をなぞることを覚えたのは
きっと雪の降る夜が明けた日の朝
与えられたおもちゃに統一性を見いだせば
それはことばだった
手触りも匂いも味もない
ことばのブロックばかりを組
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