砂塵の街/ベンジャミン
 
{引用=砂漠のように乾燥して
地球を一周してきたような風が
ビルという山脈の間を駆け抜ける
巻き上げられたように歩く
人の群れの行く先は
小さな箱みたいな
壁に閉ざされたわずかな隙間だ
敷き詰められた砂塵のように
あるいはそんな隙間を埋めるために
様々な感情がひしめいている
あらゆるものが削られて
その欠片がまた砂塵となる
どこまでも渇いている
どんなに雨が降っても潤うことのない
此処は砂塵の街だった
あまりに多くのものが降り積もって
その圧力に耐えることに精一杯で
そんなふうに生きることが
何かを風化させている
やさしさ
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