大根役者のロックンロール/中原 那由多
しそうなくらい嬉しかった思い出を
再現しようと考えることは馬鹿げている
カモフラージュのつもりでかけている眼鏡を共通点にしたら
見えるものは少しでも違ってくるだろうか
とある四階の教室前で
わざとペンを落としてやろうかと検討中
幼稚な圧力に妥協してしまい
急ぎ足はさらに早くなった
やはりまた同じ景色を見ることになり
ため息をついた私の後ろでは
サナギが二匹、蝶になろうか悩んでいた
見守る気などはさらさらない
だがしかし、戦いから逃げたわけではなく
振り返れば、この距離はたちまち助走に変わる!
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