『もう夏が来る、そんな気がした』/ま のすけ
陽射しを浴びている
人様の勝手な植樹によるものだとしても
その緑が今の私には素直に美しい
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鯛焼き屋の親爺が死んだ
なぜだか知らないけれど
自分と顔をあわす度
「僕も旅に行きたいね、旅に」と。
彼には自分が旅人とでも見えていたのだろうか
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山間の、水が張られた田に
その大きさの空
その大きさを陽光(ひかり)
更に、その大きさを
ほんの一回り大きくした希望が存在している
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影が
濃さを帯びる
眼を閉じるたび
まぶたの裏には過去ばかりが甦る
もう、そろそろ、そんな季節か
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※件の作品は、すべて五行で作られていますが、
特に「五行歌」を意識してのことではあり
ません。どちらかというと「五行詩」に近い
ものであろうと思います。(作者)
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