『もう夏が来る、そんな気がした』/ま のすけ
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ワイヤーの入った
硝子の向こう
街の暗闇を
雨粒がはしる
必ずしも重力方向という訳でなく
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夜が零した水なのか
傘を滑り落ち
1秒足らずのうち
革靴のつま先に弾け
その後、暗さの一部と同化する
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雨がやんで
買い物に出かけると
月がふらりと降りて来て
肩先へ停まる
五月はもう終わりを告げているか
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既に、夏に近い空があり
青葉・若葉が大きく風に揺れながら
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