『もう夏が来る、そんな気がした』/ま のすけ
 
   +  +  +  +

  ワイヤーの入った
  硝子の向こう
  街の暗闇を
  雨粒がはしる
  必ずしも重力方向という訳でなく

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  夜が零した水なのか
  傘を滑り落ち
  1秒足らずのうち
  革靴のつま先に弾け
  その後、暗さの一部と同化する

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  雨がやんで
  買い物に出かけると
  月がふらりと降りて来て
  肩先へ停まる
  五月はもう終わりを告げているか

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  既に、夏に近い空があり
  青葉・若葉が大きく風に揺れながら
 
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