四季/かんな
春「許せない春」
桜ふぶきが目に入る
淡く、幼い恋に似ていて
ほろりと涙がでた
花びらをひとつ
つかむと握りしめていた
肩をなでていく、風を感じる
許せるものを
この手のひらに集めて
すべてを放ったら
ただひとつ
残ったものは春だった
夏「夏のゆらぎ」
もう、すこし遠く
逃げ水を追うように
地平のはざまをかすめる
揺らぐことが
存在を確かにするように
おもいを推敲する
陽射しに向かい
ひまわりの種をかじり
あの夏を、証明する
秋「夕焼けヒッチハイク」
野原の端っこで親指立てた
通り過
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