うつくしい海岸と怪獣/水町綜助
 

いよいよ働き蟻は足の付け根の敏感なところまでやってきた模様
そろそろ起きるとして
むくりと起きあがりあたりを見渡すと
海岸線を歩く季節はずれの白人カップルの姿はもう見えず
かつてアメリカに憧れた日本のサーフィン黎明期のことなど知らなそうな(まあ僕も知らないが
若いサーファーがひとり、大して高くもない波と格闘中だった

僕は頭をひと掻き
髪をなで
まだ濡れて固い
砂だらけのジーンズをたくし上げ
じゃりじゃりと靴をはき
砂に足跡をてんてんとつけながら
ゆっくりと東京へ歩を進めた
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