発光する体/千月 話子
 
えた残り蚊が
呪文のような鱗粉を撒き散らす
白い 残り蛾を連れてやって来る

早く電気を消して 早く私の光りを消して
そして    私の気配も・・・・・・



半分閉じたカーテンに
正体不明の影が映っても
怖くない 朦朧

私の暗闇に落下して縮まる感覚に
身を丸くして 眠ろう
 灰羽と灯し火消えた鱗粉は夜の死体
風に飛ばされて
翌日がゆっくりとやって来るまで・・・・



うつらうつら と朝が起きる
こんな 日々
冷たい北部屋に直射日光は照らさない
滲むように薄っすらと光 讃える朝日が
この部屋を白く包むと
わたしは 危うい命の光りを
ゆっくりと 充電する

今夜また発光する 体のために。



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