七月/草野春心
 
くは一人ぼっちになった。



  ぼくも彼女に話したかった。
  学校のこと、
  ありふれた片思いのこと、
  虐められている友達のこと。それと、
  これからを生きてゆくことへの
  迷いのすべて。



  だれに話せばいいのか、
  だれに打ち明けたらいいのか、
  ぼくにはわからない。
  とうめいな沈黙に耳をすませていると、
  それがぼくの声だと気づいた。
  ほんとうにぼくは一人ぼっちになった。





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