青木龍一郎が動物園にやってきた/青木龍一郎
の手にかかった。
園長は小さい声で「うわ汚ねっ…」と言ったので、僕は悲しくなった。
「…まあ、こんな感じだ」
「え、エサって客からもらう分だけですか」
「そんなわけないだろう、糸こんにゃく野郎」
「糸こんにゃく野郎!?」
「客のとはまた別にエサ担当のスタッフが毎日決まった時間に君にエサをあげることになっている」
「そうですか」
「丁度いい。今、エサ担当の山本君がやってくるから紹介するよ」
向こうから飼育係のコスチュームを身に着けた、20代くらいで、メガネをかけた大男がやってきた。
「紹介しよう、君のエサ担当、山本君だ」
「山本です。よろしく」
僕は檻の中
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)