詩作過程 / ****'04/小野 一縷
詩作をしよう」と思う
8時13分 職場の入り口をくぐる
タイムカードを押す
朝礼の後 いつも通り労働する
休憩と終業の時間だけを気にして
いつも通り労働する
17時30分 終業
17時40分 帰路へつく
18時47分 帰宅
18時52分 夕食
19時05分 薬を飲む
19時10分 入浴
19時36分 PCとステレオの電源を入れる
20時20分 詩作開始 例の詩作法を用いる
現在 23時42分 昨日の分 眠るのは 明日
現在 2時48分 詩を書いている
雪の降り終えた夜を 真直ぐ見上げると
睫毛の裏 細やかな死角に隠れる 星の屑
冷たさに瞬きして ノートへ視線を戻せば
零れ落ちる文字 ペンを走らせれば
言葉が少しずつ 積もってゆく
罫線同士の隙間が 埋まってゆく
目盛を減らしていく
針を刺し込み 内溶液を静脈に注ぐ
SとM 相反する性癖を 同時に満たす
その行為に似せて
現在 4時56分
まだ 詩を書いている
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