しれっと/かんな
一匹の猫が毛をくわえてなめながら
道路端で毛づくろいをしている
通り過ぎる車の行き先をどこかしれっと見つめているようで
彼の行き先は誰も知らない
道端で死骸となった小動物をいく度も見ている
それは確かな現実でつかめない現象のように
わたしの思考に浮遊する
彼らの足跡を追いかけてみようか、たったた、た、
騒音の中で幼い頃の足音を聴く
どちらへ向かおうとひらいた現実が見えていた過去にふり向く
いつの間にか道路から消えた死骸にまた視線を向ける
(もう片付けられたことは知っていたけれど、
カラスがたかれば目を背けた
幼いわたしはひどく残酷にその横を通り過ぎた/通学
[次のページ]
戻る 編 削 Point(5)