2度目の性/靜ト
 
度に心が綺麗になっていくような
どこかに還って行くようなそんな気持ちをぼんやり感じながら








どこからか君がやってきて
「耳をふさげ」
と言った




そんなのできない できるわけない
そんなの逃げだ卑怯だ薄情者だと叫ぶ


けれども君は耳を塞いだ
大きな両手で静かにわたしの耳をすっかり包み込んで
わたしは目をつむる





そうしたら
しんとした無の世界のどこかから
小さな足音が近づいて
とくとくとくとく
だんだん大きくなり






ああ そうか
ここにいたのか
ずっとここでわたしを待っていたのかと







わたしは赤い熱い廊下でわたしと見つめ合う
ゆっくりと差し延べられた手を
しっかり握りしめたら
いつの間にかわたし達は逆転して



目を開けて眩しさを確かめたら
本当に生きていくことを見つけた
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