やさしさの裏側/かんな
 

これが永久プレパラートになったならいい

最後にそれぞれのおもいをガスバーナーの炎の中にいれた
カリウムみたいな紫色を示したものもいれば
ナトリウムみたいな黄色を示したものもいた
一名の男子が言う/そんな単純なおもいでは生きていけない
もう一名の男子が言う/混ぜてみようか
それぞれのおもいの混合物をつくって炎の中に入れた
すると何色もの色を放って眩しいくらいにかがやいた

窓の外を見ると
夕陽が水平線ぎりぎりで止まっていた
空と海の境目は現実とこの実験室の境目のようなものだ
ひりりり、とまた皮膚に痛みが走り
カルシウムみたいな橙色の夕焼け空に
吸い込まれて消えた



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