未明 / ****'99/小野 一縷
しい日付を 名も知れぬ国から運んでくる
光の駆逐 闇が衰えてゆく
聞こえるか 夜が白む音
黒水晶の奥深い艶は衰えて
まるでくすんだ群青の油石
子守に飽きれた オルゴールの最期
振り絞った一音
冷え切った空気に 鋭く響いて
息絶える
夜の終りと伴に
朝の始まりと伴に
息をするのを忘れるように 眠ろう
今日を明日が じらしながら焦がして
白昼
旋風
跡形も無く舞い上げられた 冬の砂塵
擦った瞼を 視界を 霞ませるように ゆっくり開く
振り返らずに 残してきた足音と影を辿って
淡い木陰に 夜の使役人が 身を潜める
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