poetarot(愚者のカード)保存版/みつべえ
 
、曲がり角で、ばったり出会うときだが。どんな場合にも、軸足を少し右に移動し、個人的見解により、もっとも美しいと思う笑顔で、挨拶するがよい。



木々が。身をかがめて、なにごとか囁く。花を、豪奢に捨てながら。耳の奥の、蝸牛神経に。とどいた信号だけを、掬って。あなたは。世界の秘密を、垣間見る。



あなたは、だまされる。理想や希望に。鏡のなかへ、つづく道は、背後へ、のびている。いかなる象徴も、読み解かずに。みんな、追われるように、自分を。語るに忙しい。



忘れられたころに、世界が帰ってくる。ずいぶん眠った。あなたの目覚めに。間に合わなかった罰として、ひとを愛した。わたしは、だらだらと、循環する幸福のうちに、死ぬことを。恐れはじめている。



風へ。分解する。誰にも、気づかれずに。あなたは、自由に出血をくりかえし。月の夜に。魂の言葉を、黄金比で割って。遺書を、したためて。忽然と。去る。


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