春告鳥と不如帰と鴉/
板谷みきょう
ウの方が好きなのよ。」
息が荒くなるのを抑えながら
静かに口にしたが
首筋の血管は凄く速く脈打っていた
「ごめん。」
何をどう言えば
返事することもできず
そのまま疲れに任せて
いつもと変わりなく
泥のように眠った
目覚めた時にアイツは消え
二度と姿を現さなかった
あれからどうしているのか
いまだに解からないけれど
屋根に止まり嗚呼と哭く
明けの鴉の声を聞くと思い出す
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