ひみつ/あ。
 
いくら考えてみたって、それは
途方もなく大きな壁だし
やっぱり誰かの覗き穴なのだ


漏れてる光は淡くて黄色くて
きっと幸福を形にしたものなんだけど
爪あとに似た影も見えるね
だからきっと生々しいんだね


生々しい幸福の中にいる誰かは
こちら側の世界を何と見るだろう


こころもとないほの暗さは
何だか喉の奥みたいだね
なのに時々思い出したように眩しくて
それがどこか生々しいね


ぼくたちの住むこの世界では
果てしない壁を空と呼び
光を見つける時間を夜と呼び
見つけた光を放つ穴を月と呼ぶ


生々しい闇に囲まれた灯りの中で
誰にも内緒でそっと覗いた


明日が今日になる、その瞬間

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