諷狂 / ****'01/小野 一縷
気の効率を上げ
ところ構わず立ち昇る陽炎を 問い殺してゆく逃酔狂
景色の奥底から 静かに滲んでくる
氷霧のように鋭く 輝く 蜘蛛の巣
奥の奥の先に着くものは
微塵切り
思惟が描き続けた同心円を逆順に更新する旋風の回転数
その微分され尽くした分子の速度は死に際の円周率の細やかな歪さ
記憶に 知らぬ間に 記された数々の風の軌跡を遡って 辿って
果てに 意識の基盤が粉々に 砕け落ちていった 底に
風は止み 移動は潰えた
無意識を循環した風は 再発した意識の上において
数列と音階へと姿を変え 対流し蒸発する
時間を絡めて 遠退いて 昇ってゆく
耳と眉間の奥に 幾つかの数字がまだ 微かな音を伴って蟠っている
それらは夜の中に 円を描き 回り出す 光の環と等しく 薄く鋭い
その 一筋の光景
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