性/笹子ゆら
 
 
簡易包装で愛情を逆撫でして、テレビ放送で愛欲を売り物にする。
たいしたものは今更ないけど、発情する身体は求めあうことを忘れようとせずに、疼く芯を自らの手で慰めた。



ア、と声が漏れて
わたしの底が崩れて
それが到達点なら
なんて馬鹿馬鹿しい
馬鹿馬鹿しい、こと



残るのは侘しさ、誰か抱かれていたはずの体温。思い込みで触れた部位にはもう食指も動かず、塗れた夜に一人呻いた。世界にわたしが沈んでいく。息を止めて、存在も消えて。それでも乳房の膨らみは消えない。
確かに言い切れるものがないから、私たちはよがるのに。真実ならば浅ましいし厭らしい行為を、今日も明日も繰り
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