バスレフ/ねなぎ
タバコに火を点けた所で
向こう側に置いて来た言葉を思い出して
話を遮り
スピーカーを磨いている
振動板は
電気が無くても震える
何も信号が無くても
震えている
本能のように
基本のように
音は出ないのだ
けれども
音の無い部屋の音は
聞いている積りの言葉を
向こう側に置いて来た
そのまま
忘れてしまえば良かったのに
思い出してしまうから
話かけようとして
音が出ない
未整理フォルダに
置いといた言葉が
クリーナーで消去された
多分
乾式では無かったのだろう
振動板を爪で弾いても
アンプは黙ったままで
言葉を探しても
何も言
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