始まりと終わりに架かる橋/相馬四弦
橋を渡る行列が
途切れることなく続いていて
とても不思議なのです
わたしもその行列のどこかに
紛れているのです
右隣には暗い顔をした紳士が歩いています
左隣には固まった笑顔の婦人が歩いています
後ろに誰がいるのかはわかりません
振り向いてはいけないのです
決して
振り向いてはいけないのです
誰も何もしゃべりません
川のにおいがします
さわさわと流れが聞こえます
みんな歩いていきます
足音は聞こえません
そういう不思議なのです
とにかく歩いているのです
誰も何も知りません
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