始まりと終わりに架かる橋/相馬四弦
 
橋を渡る行列が

途切れることなく続いていて

とても不思議なのです

わたしもその行列のどこかに

紛れているのです

右隣には暗い顔をした紳士が歩いています

左隣には固まった笑顔の婦人が歩いています

後ろに誰がいるのかはわかりません

振り向いてはいけないのです

決して

振り向いてはいけないのです

誰も何もしゃべりません



川のにおいがします

さわさわと流れが聞こえます

みんな歩いていきます

足音は聞こえません

そういう不思議なのです

とにかく歩いているのです

誰も何も知りません



[次のページ]
戻る   Point(1)