Mother, Wife, Sister, Daughter/楽恵
 


娘は都で革命家となり
同志である革命家の夫と結婚した。
都には娘を姉のように慕う若い女がいた
革命の都で、娘は念願の妹を得た。

けれど娘の夫は、彼女の妹である若い女と
許されない恋に落ちると
その女を連れ、異国に去った。

娘が眠る窓辺を見上げたまま
お姉さん、と小さく呟いて
彼女の幼い頃からの本当の夢は、都を去った。


向日葵が咲く頃
娘は都と思想を捨て、夜明けの町に帰ってきた。

町の入り口で娘が佇んでいると
遠くから朝焼けに染まる石畳の道を
痩せたひとりの女の影が歩いてきた。

女の影に気づいた娘が微笑むのと同時に
向日葵の町にも陽が昇った。




戻る   Point(8)