空気/真島正人
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世間が
大きな怪物に見える
それよりももっと恐ろしい怪獣が
他の場所にいる
麦畑が
静かに揺れている
彼らも
約束された平和の中に
揺れているだけ
刈りいれ時の時間、
刈り取られてしまう
運命が
僕たちを木っ端微塵にする
血と汗と涙の世界に
置き去りにする可能性も
捨てきれない
僕は泣くことも出来ない
泣くと叱られるから
※
木のボートに
乗っている
午後の空気を吸って
吐いた
海は凪いでいる
どこまでも空が晴れている
カンディンスキーの絵のように
奇妙でも複雑でもなく
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