かみのひこうき/コーリャ
 


たとえば鉄の味のする夜に
街がプラタナスの樹木にかわってしまうと
ひしゃげたかみひこうきが
ポストに突っ込まれる
それを開いてみると
不在票と書いてあり
ぼくに郵便物があって
差出人はかみさまらしい


電波塔は群れで飛ぶ鳥たちに占拠されてしまい
しかたがなく
風に周波数をあわせていますとでもいうように
ラジオの音声はみだれていて
ようやく理解できたpassageは
「このハルいちばんのとれんどはヒコウです」
ぼくがそれを伝えようとすると
あなたは
かみひこうきを折りながら
讃美歌をうたっている
天使の羽が降るじかんには
すべてがゆるされてしまう
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